コロナワクチン接種後、老衰で死亡?

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コロナワクチン接種後、老衰で死亡?

 新型コロナウイルスワクチンの接種が高齢者を対象に開始されていますが、まだ接種の予約をし難いなどいろいろ問題点もあるようです。またできるだけ早く接種を受けて感染を予防したいと思う人が多い反面、ワクチン接種は受けたくないと思っている人もいます。このワクチン接種を受けたくない理由としてはワクチンには予期しない副反応があるかもしれない、特にmRNAというこれまで実際に使用されたことがない新しいワクチンであることから、これから妊娠、出産を予定している若い女性なども接種を拒絶している場合もあるようです。またワクチン接種後アナフィラキシーという重症のアレルギー反応が心配だとする方もいます。しかしこのような急性の変化であれば適切に処置すれば死亡に至ることはない、というのがテレビのCMでも放映されている厚生労働省の意見です。実際これまでに600例以上の接種アナフィラキシーが出現したがいずれも死に至るものではなかったといいます。

 その厚生労働省はコロナワクチン接種後の死亡例などは報告することを求めていますが、公表されている接種後の死亡原因の内訳をみると、出血性脳卒中、心肺停止に次いで老衰が挙げられています。このうち「老衰」で死亡することは、いうまでもなく年齢を重ねて身体機能が衰弱し死に至ることです。年齢でいうと何歳以上の人が亡くなった場合をいうかについては意見の分れるところですが、近年は90歳以上とするのが妥当のようです。厚生労働省でも「老衰」での死亡例は全て90歳以上であったとしていますので、この点からは老衰という発表の仕方に問題はないと考えられますが、どの時点で死亡したのかについてみると、ワクチン接種後13日後だったそうです。死亡までの期間では、いかにもワクチン接種が直接の原因で「老衰」で死亡した事例のように見えてしまいますが、はたして真実はどうだったのか疑問が残ります。つまりワクチン接種を受けた後に短期間でいきなり急激に老化が進んで死に至ったことを意味するのですから理解しにくいものです。厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会でも、死因の調査が十分でないまま報告された可能性があると考えられているようです。今後は死亡原因をよく調査して報告することが求められるとしています。

日本人全体の死亡原因においても近年では第一位の悪性腫瘍、第二位の心疾患に次いで第三位に老衰が挙げられています。死因となる明らかな病気がないまま健康で歳を重ね、最後には老衰で死亡するということは、老年医学的にも望むべき姿と思われます。しかし感染症予防のために接種されたワクチンでいきなり「老衰」での死亡というストーリーは簡単に納得できるものではありません。

高齢者のコロナワクチン接種後の死亡例として、アルツハイマー病の101歳の方で微熱があったがワクチン接種後3日目に急性の副反応がなかったが心肺停止となり死亡した例、および10日前に誤嚥性肺炎があった方が接種後に死亡した例などがマスコミでも報道されています。いずれもわずかながら体調不良があったもので、今回の「老衰」で死亡という例も初めから何らかの体調変化があった可能性もあるでしょう。高齢者ではわずかな体調変化でもワクチン接種は一旦見合わせる必要があると考えられます。