医療あれこれ

インフルエンザワクチンで脳卒中予防?

 スペイン・アルカラ大学の研究者らによる大規模研究で、インフルエンザワクチンの予防接種を受けた人は脳卒中の発症リスクが低下するという論文が、国際雑誌Neurology 97日号に発表されています。

(Rodríguez-Martín S. et al. Neurology Sept.7.2022

 DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000201123

 スペインの住民40歳~99歳の男女375万人余りを対象として14年間追跡調査したものです。結果は1 4322人が脳梗塞を発症しましたが、発症から14日以上前にインフルエンザワクチンの予防接種をしていた人は41.1%でした。この人たちの対象として年齢や性別の構成が同じで脳梗塞の発症がなかった71610人を選別して脳梗塞群と同時期にインフルエンザワクチンを受けた割合を調べると40.5%で、脳梗塞群とほぼ同じでした。

 この2群を比較すると、インフルエンザワクチン未接種の人に比べてワクチン接種者では脳梗塞発症リスクが12%低いことが判りました。脳梗塞発症者群においてワクチン接種の時期によるリスク低下の程度を比較すると、ワクチン接種後1530日の期間での脳梗塞発症リスクは21%低下したのに対して、ワクチン接種後150日を越えるとリスク低下の程度は8%まで減っていました。またインフルエンザワクチンだけではなく、肺炎球菌ワクチン接種による脳梗塞発症リスクも検討しましたが、肺炎球菌ワクチン接種による脳梗塞リスク低下は認められませんでした。

 研究者らによると、インフルエンザワクチンによる脳梗塞発症リスク低下効果は12%とわずかですが、全世界でみると相当数の脳梗塞発症が予防できていることになるといいます。ではなぜインフルエンザワクチンが脳梗塞発症を減少させるのかというと、インフルエンザという高熱がある全身疾患に罹患することにより脳梗塞が発症しやすくなっているのがワクチンによりこの状態が予防されているからではないかと述べています。

 今後の課題として、食習慣や運動習慣、あるいは高血圧や脂質異常症などの疾患による影響などを考慮にいれてさらに解析を進める必要があると考えられます。