医療あれこれ

運動は血圧を下げる方法の一つ

 前回に続いて運動は健康生活に重要な要素という話題です。以前から適度の運動習慣は高血圧の人に対する有効な降圧療法の一つであると考えられていますが、米国スポーツ医学会などから運動と血圧低下の関係に関する多くのデータがまとめられ報告されています。それによると運動の強度に拘わらず高血圧患者の血圧を下げる可能性があり、75%の患者さんは運動によって血圧を下げられるとされています。

 運動をすることは悪玉コレステロールが低下し、体重が減り、糖尿病に良い影響があります。アメリカ心臓協会によると、130分間、週に5日以上の身体活動が推奨されています。いうまでもなく心臓に病気がある人などはまず担当医に相談してから始めることが大切で、避けたほうが良い運動としては、全力疾走、重量挙げなどが挙げられています。

 最近あまり運動をしていない人は、ゆっくりしたペースで20分くらい歩くことから始めるとよいとされています。すこし脈拍が早くなるような「早歩き」をする場合でも、ウォーキングで5分ほど体を温めてから、25分~30分の運動をおこない、終了後も5分ほど軽い運動で整理体操的に体を動かして終了するのがよいとのことです。

 ある程度しっかり運動をするとして脈拍数の最大値をどれくらいに設定すればよいかというと、「200 - 年齢」で得られる数値が最大脈拍数としての目安になります。まずこの最大脈拍数の半分(50%)程度から始めて、高強度の運動をする場合でも85%程度までにすることが適当とされています。

 運動だけで高血圧が治るのかというとごく軽症の場合を除いてなかなかそうはいきません。しかし運動をしていれば薬物療法をしている場合でも、薬の量を減らすことができます。また塩分の制限や油分を減らす、野菜や果物を取り入れる、さらに6時間以上の十分な睡眠をとるなど生活習慣全体を見直していくことが重要性であることはいうまでもありません。