医療あれこれ

米食の日本人男性は心血管病で死亡する危険性が低い

 これまでも日本人は欧米人に比べて心臓や血管疾患で死亡する危険性が低いことが知られていました。この原因について生活習慣の相違から推測すると、日本人の主食がコメであり、欧米人のコメの消費量は日本人に比べてはるかに低いことから、コメを主食にする日本人は心臓血管疾患になりにくいと想定されていました。しかしこれまでのコメ消費量と心臓血管疾患の発症リスクを単純に比較検討した疫学研究では明らかな関係性は見出されていませんでした。

 この度、岐阜県高山市の住民を対象とした大多数の疫学研究がおこなわれている「高山スタディ」のデータを基に、コメ、パン、麺という日本でよく主食として食べられている食材を比較検討しながら、心臓血管疾患による死亡の危険性と食生活習慣の関係性が検討されました。

 この研究を実施したのは岐阜大学大学院医学研究科の疫学・予防医学の和田恵子氏らのグループです。35歳以上の住民31,552人の研究参加者のうち心臓血管疾患にかかったことがない29,079人、(このうち男性45,9%)を対象として解析が進められました。

 19929月から200810月まで追跡調査した結果で、1,685人(男性が46.2%)の人に心臓血管疾患による死亡が認められ、コメの摂取量との関連を検討すると、男性ではコメの摂取量が多いほど心臓血管疾患による死亡が少ないという有意な関係が認められました。一方、パンの摂取量と心臓血管疾患死リスクとの有意な関係は認められず、麺の摂取量との関連をみると、麺が多いほど心臓血管死リスクが高いという結果でした。しかし体重、喫煙・飲酒、運動習慣、糖尿病、高血圧などの因子を加えて検討すると、麺の摂取量と心臓血管疾患死との関係性はありませんでした。

 これに対して女性では、コメ、パン、麺のいずれも、男性でみられたような心臓血管死リスクとの有意な関係性はありませんでした。

 以上の結果より、日本人の男性に限ってみると、コメの摂取量が多いほど心臓血管死の危険性が低くなることが証明されました。女性でこの関係がなかったのは、女性の方が菓子類の摂取量が多いほどコメの摂取量が多いといった男性にはない関連性の影響があることなどが関連していることが述べられています。