医療あれこれ

毎日コーヒーを飲むと心臓は健康になる

 これまでコーヒーを飲むと心臓の拍動が増加し心臓病のある人は病気が悪化する可能性もあるから注意が必要だなどとされていました。今回オーストラリアのベーカー心臓糖尿病研究所のPeter Kistler氏らは、毎日飲むコーヒーが心臓病や死亡率にどのような影響を及ぼすのかいくつかの大規模臨床試験で検討をおこない結果が報告されました。

(米国心臓病学会年次学術集会ACC.22 報告)

 この研究は3種類の臨床研究が含まれています。1件目の研究は心疾患のない38万以上の男女を10年間観察したものです。①コーヒーを飲まない、②一日1杯未満、③一日1杯だけ、④23杯、⑤45杯、⑥5杯以上、の6群で比較検討すると一日23杯コーヒーを飲む人では、心臓病や全死亡のリスクが1015%低いことが判りました。

 2件目の研究は、心臓病にかかったことがある3万人余りを対象とした研究を1件目と同じくコーヒーを飲む量の差によって比較検討しました。その結果やはり一日23杯コーヒーを飲む人は、全く飲まない人に比べて死亡リスクが低下することが判りました。

 3件目は、研究対象者が飲むコーヒーの種類が、インスタントコーヒーか、豆を挽いたコーヒーか、カフェイン入りかカフェインレスか、といった相違で観察したものです。その結果はコーヒーの種類にかかわらず一日23杯のコーヒーを飲む人は心臓病やさらに脳卒中のリスクが低下することが明らかとなりました。

 別の研究者はコメントで、一日に8杯コーヒーを飲む人でも死亡リスクが低下するという結果が報告されていると述べています。どうやらコーヒーを飲むことは心臓の健康によい効果をもたらす、少なくとも悪影響を及ぼすことはないようですが、今後の研究で、コーヒーの直接的な健康保護作用が明らかにされることを期待したいと思います。