医療あれこれ

肉や魚介を食べない人はガンのリスクが低い

 これまでにもベジタリアン(菜食主義者)はガンになるリスクが低いといわれていました。しかし特定のガンに限定されるという報告もあります。このたび英国オックスフォード大学の研究者らにより菜食主義者と非菜食主義者で大腸ガンを含むすべてのガン発症リスクが調査研究され結果が公表されました。(BMC Med 2022; 20:73

 英国で調査研究に登録された人のうち、ガンの診断を受けていない472,377人に対して食事に関する大規模アンケートが実施され、その結果に基づいて、

    通常の肉食群(週5回以上肉食している人、平均年齢56歳)247,571人、

    低肉食群(週5回未満の肉食の人、56.9歳)205,383人、

    魚介食群(非肉食で魚介類のみの人、54歳)1685人、

    菜食群(非肉食、非魚介食の人、53歳)、8,685

以上の4群に分けて、全てのガン、大腸ガン、乳ガン、前立腺ガンなどの発症リスクが検討されました。

 平均して11.4年間追跡調査をおこなったところ、54,961人にガン発症が認められました。それぞれの内訳は大腸ガン 5,882人、乳ガン 7,537人、前立腺ガン 9,501人でした。これを統計学的に解析すると、通常肉食群を1として比較したとき低肉食群は 0.98、魚介食群は 0,90、菜食群は 0.86の割合で、いずれもガン発症リスクが有意に低いことが判りました。ガンの種類別でみると、大腸ガンのリスク低下は、低肉食群の男性でのみ有意に低下することが認められましたが、一方、乳ガンでは菜食群の女性でのみ有意な低下があったそうです。

 これらの結果から、研究者らは「通常の肉食群に比べ、低肉食群、魚介食群、菜食群ではいずれもガン発症リスクが低いことが明らかとなった。今後は菜食群を中心にした検討をすすめたい。」と述べています。しかし前回ご紹介したようにガン予防にはダイエットが大切ですから、バランスの良い食事をして体重を増やさないようにしたいものです。