医療あれこれ

夕食を抜いていると肥満になる

 体重増加を抑制するため摂取カロリーを減らすことが必要だとされています。しかしこれまでは朝食を抜くという不規則な食事はかえって体重を増やしてしまうという研究結果が多く報告されていました。一方で昼食や夕食を抜くのはどうかという調査をした報告はありませんでした。

 この度、大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの守山敏樹教授らの研究グループは、日本でも有数の多数が在籍する大阪大学の学生を対象にして、朝食、昼食、夕食の食事形態と在学中の体重変化が調査研究され本年2月に報告されました。

Yamamoto R, Moriyama T. et al: Associations of skipping breaksast, lunchi, and

Dinner with weight gain and overweight/obesity in university students:

Retrospective cohort study. Nutrients 2021, 13,271. https://doi.org/10.3390/nu13010271

 対象は17,573人の男子と8,860人の女子それぞれの第一学年次学生で、入学前までの朝食、昼食、夕食の摂取頻度を入学時の健康診査時に調査し、入学後の体重変化が検討されました。

 その結果、男子学生では、夕食をほぼ毎日食べていると回答した者17,307人のうち1,857人(10.7%)が10%以上の体重増加を認めたのに対して、それ以外の回答をした266人のうち39人(14.7%)に10%以上の体重増加を認めました。一方、女子学生では夕食を食べると回答した8,502人のうち1,436人(16.9%)に10%以上の体重増加があったのに対して、それ以外の回答をした358人のうち82人(22.9%)に10%以上の体重増加がありました。

 多変量解析により、夕食をほぼ毎日食べていた学生とそうでない学生の体重増加リスクを検討すると、男子では夕食を毎日食べていた学生の体重増加リスクはそうでないつまり夕食を食べない学生1.74倍、女子では1.68倍で、男女とも夕食を食べない学生は体重増加リスクが高いという結果でした。一方、朝食や昼食の摂取と体重増加の関連は認められなかったとのことです。

 以上のように朝食や昼食よりも、夕食の摂取頻度が体重増加に関連していることを明らかにしたのは世界で初めての報告だったそうです。大学時代には夕食を毎日食べることが肥満の予防につながることが明らかにされた結果でした。今後、大学生に限らず一般成人において同様のことがいえるのか今後の結果報告が期待されます。