医療あれこれ

動脈硬化の調べ方

 前回、動脈硬化(粥状硬化)発生の仕方をご紹介しましたが、今回は実際の身体に動脈硬化があるのかどうか、またもし動脈硬化が発生したとしたらその程度はどのようなものかを臨床検査でどのように調べるのかについてお話します。

 まず理論的に最も簡単な方法は血管の画像写真を撮って、動脈壁がどの程度肥厚しているのかを計測すればもし血管壁が肥厚していれば動脈硬化を確実にみることができるでしょう。普通にX線写真を撮影しても動脈は映し出されませんから、X線検査では動脈を映し出すためには造影剤を血管内に注入する必要があり、すこし手間がかかる造影X線検査になります。しかし最も簡単にしかもX線のように放射能を照射しなくてもよい検査が、超音波エコー検査です。人の体の表面を走行している太くて重要な血管が頸動脈です。右と左の首筋に手を当ててみるとドクドクと拍動を感じると思いますが、そこに端子を当てて超音波エコー写真をとるのです。そしてエコー写真で頸動脈壁の厚さを測定し、1.0㎜に壁が肥厚していれば頸動脈の中膜肥厚があり動脈硬化が診断できます。

 全身の動脈に硬化があるかどうかを簡単に調べる検査は動脈硬化指標(CAVI:キャビィ)です。専用の機器を使って下図左に示したように上下左右の血圧計のカフのようなものを巻き、心音と心電図を併せて計測し、CAVI値を算出します。CAVI値<8.0なら正常範囲、8.0~9.0では境界域、9.0いじょうなら動脈硬化の存在が疑われます。検査結果は下図右のように血管年齢なども併せてお知らせできるようになっています。

 ちなみに当院には頸動脈エコー検査、およびCAVI検査のいずれも専用の機器が備わっていますので、ご希望の方はお申し出ください。検査時間は4~5分程度です。