医療あれこれ

朝食を抜くと太る機序が明らかに

 最近の調査で、若年層の4人に1は朝食を食べる習慣がないとされています。またダイエットのために少しでも摂取カロリーを減らそうと無理に朝食を抜く人もいると思います。しかし糖尿病学会その他では、食事は規則正しく13回摂るようにすることが重要とされています。朝食を摂らないと、1日に必要なエネルギー源がありますから、それを昼食と夕食でまかなうことになり、一度に食べすぎる状態を作るため、糖尿病などの発症に悪影響を及ぼすことが考えられるのです。

 しかしこれまで、朝食を抜くことにより太ってくるというメカニズムは明らかにされていませんでした。この度、名古屋大学の研究グループが、朝食を抜くことにより肝臓の資質代謝や体温調節に関わる体内時計(医療あれこれ201253日)が乱れて摂取エネルギーの消費が減り体重増加をもたらすことを明らかにしました。

 研究者らは、動物実験でラットを用い、普通に食事をしているモデルとして活動期に高脂肪食を与えた群と、ラットが目を覚ましてから4時間後に高脂肪食を投与して朝食を抜いたことに相当する状態にした群にわけ、2週間観察したのです。その結果、朝食を抜いた群では、普通の食事をしている群に比べて、体脂肪量や体重が明らかに増加していることが判りました。食事の量には両群で差はありませんでした。さらに解析を進めると、朝食を抜いた群では肝臓の時計遺伝子や脂質代謝に関与する遺伝子発現リズムが乱れていることが明らかになりました。

これまで経験的に、朝食抜きはよくない、ダイエットには逆効果でかえって体重を増やしてしまうといわれていましたが、この機序が明らかになったのです。肥満予防のためには毎日3度の規則正しい食事が重要であることが証明されたものと思われます。

引用文献:

Shimizu H. et al: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0206669