医療あれこれ

糖質摂取は多くても少なくても死亡率が上る

 少し前から、低炭水化物食はダイエットになる、糖尿病の予防になる、などと、お米や麺類を食べないでおかずだけにしている人が増えていました。しかしその後、低炭水化物は本当に有効なのかどうか、いまだに議論が続いています。少なくとも糖尿病の人には勧められないというのが本当のところでしょうが、糖尿病ではない人についてはどうなのか?短期的には有効化も知れないけれど、長期的に見たらあまり効果がない、などといわれています。(医療あれこれ2013.5.29)

 このほど体を動かすエネルギー源として炭水化物を食べる比率と死亡率の間にU字型の相関関係のあることが判った、という発表がありました。つまり炭水化物の摂取は、多すぎても少なすぎても死亡リスクが増えるというものです。(Seidelmann SB et al. Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9): e419-e428. doi: 10.1016/S2468-2667(18)30135-X. Epub 2018 Aug 17.)

 この研究は動脈硬化の原因を調べる大規模研究に参加した人たち15千人あまりを対象として、炭水化物をエネルギー源として食事をしている率(炭水化物からのエネルギー摂取比率)と死亡率の関係を検討しました。その結果、炭水化物からのエネルギー摂取比率が5055%のとき、死亡リスクが最も低いことがわかったのです。そしてそれより比率が多い場合(70%超)も少ない場合(40%未満)も死亡リスクが上昇することが明らかとなりました。

食事の内容を考えると約半分はエネルギー源として、お米や麺類、パンなどの炭水化物を摂取することが必要だということです。これは以前から専門家や関連学会からいわれていたことで、やはり食事は主食(炭水化物)と副食(タンパク質や脂肪など)をバランスよく食べることが必要だということを、大規模試験のデータとして明らかにしたことになるのでしょう。

さらに炭水化物を食べる替わりに、牛肉、豚肉、鶏肉など動物性のタンパク質や脂肪に置き換えると死亡率が上り、逆にナッツなど植物由来のタンパク質に置き換えると死亡率は下がるという結果も確認されました。食品と死亡率の関係はそれほど単純ではないと考えられます。