医療あれこれ

実年齢より若くみえる人は老化リスクが低い

 中高年の人で、見た目に推測される年齢が実年齢より高年齢の人、つまり老けた顔の人は若く見える顔の人に比べて死亡リスクが高いという研究論文が発表されています。研究報告をしたのはオランダのロッテルダムにあるUniversity Medical Centerの研究者で、皮膚科関連の学術雑誌 Br. J. Dermatol に公表されています。

 研究の方法は、20109月~147月に皮膚科検診を受診したオランダ在住の男女2,679人を対象として、27人の評価者が顔写真を見て年齢を推定した知覚年齢と実年齢の差を求めました。評価者には対象者の実年齢は知らされておらず、写真撮影時にはクリームや化粧品の使用や、装飾品などを装着することも禁止されました。その年齢推測値を実年齢より若く見える群893例、実年齢相応に見える群893例、実年齢より老けて見える群893例の3群に分けて解析をおこない、老化に影響を及ぼす疾患や生活習慣などの要因との関連が検討されました。

 解析の結果、生活習慣をみると、実年齢より若く見える群ほど喫煙習慣などは少ないことがわかりました。また実際の疾患リスクは、若く見える群ほど慢性閉塞性肺疾患など加齢が発症要因となる疾患発生率は少なく、骨粗鬆症、白内障、華麗性難聴さらに認知症発生などもその発生リスクが低いことが明らかとなりました。これらの疾患は加齢とともに発症率が増加することが知られていますが、実年齢というより見た目に若く見える人の群で発症しにくいと考えられました。

 実年齢よりも老けて見えることが認知機能指標の低下と関連する可能性があるとこれまでにも、小規模な参加者を対象としたいくつかの検討から知られていましたが、今回のように比較的大規模な研究報告で明らかにされた事は重要なものです。今後の老化に関する研究にも用いられる可能性がある有益な研究方法であると研究者らは述べています。