医療あれこれ

新型コロナ感染者数は増加している

 新型コロナウイルス感染に関する対策は、感染症法の取り決めでは、これまで感染者が発見されると入院の上管理することが求められる2類感染症とされていましたが、5月以降5類感染症となり対策が緩和されるようになって1ヶ月以上経過しました。御承知の通りマスク着用を始めとした取り決めが、マスクをするかどうかは個人の判断に任せられるようになっています。

 テレビ報道などでは、「コロナがなくなったのでマスクはいらないから自由になってよかった」というたぐいのインタビューに対するコメントを見ることがよくあります。しかし、言うまでもなく、これは誤った考えですね。コロナウイルスが消滅したわけではなく、5月以前のように厳しく規制する対策が緩和されただけのことです。今までは各医療機関でコロナ感染がみられたら必ず報告することが求められており、このデータに基づいて毎日、感染者数の増減がニュースで報告されていましたが、5月以降この報告義務はなくなりました。その結果、公式の感染者数増減は公表されなくなり、感染者数がどのように変化しているか明らかではありません。

しかし病院など各医療機関における発熱外来の受診者数は5月以降明らかに増加しています。発熱があるために受診した方は原則PCR検査などによりコロナ感染の有無が調べられますが、受診者の半数以上はコロナ感染陽性と診断されます。場合によっては8割以上が陽性という結果もよく認められるようです。つまりコロナ感染者は明らかに増加しており、「コロナはなくなった」と言えるような状態では全くありません。

そこで必要になるのは感染予防です。予防接種ワクチンの接種率が100%でないことから、手洗い消毒などの予防は可能な限りおこないたいものです。またマスク着用は必須の義務ではなく個人の判断による、つまりする・しないは自由なわけですが、混雑した場所とりわけ通勤・通学時の電車やバスではマスク着用が、義務ではないですが、推奨されています。近隣の状況はやはり多くの人が満員電車ではマスクを着用されています。しかし中には当然のようにノーマスクで満員電車に乗られている人もいらっしゃいます。マスクではコロナ感染を完全には予防できなとか、たとえコロナに感染しても以前のように重症化することはないという思いも当然あるでしょう。しかしコロナ感染者において長期で治癒し難い副反応が見られることも事実であり、たとえ効果が100%ではないにしろ、できることをして感染予防に努めたいものです。