医療あれこれ

コロナで喘息が減っている

 気管支喘息(喘息と略)は感染やアレルギーにより気管支が狭窄し、ヒューヒュー、ゼイゼイと呼吸状態が悪化し、発作が適切に治療されなければ場合によっては死に至る可能性もある病気です。成人に発症する場合もありますが、小児喘息として小学時までに発症することもよく見られます。小児の場合、特に感染症を合併して悪化することも多いことから注意を要する疾患です。

 この喘息発症数を統計データとして全国調査したところ、新型コロナウイルスの蔓延が始まった2020年以降では、発作などで状態が悪化して入院する患者数はコロナ禍前に比べて明らかに減少したことが埼玉医科大学の調査で分かったそうです。

 全国の0歳から19歳までを対象として33医療機関が協力し、喘息発作が起きて入院に至った患者数をカウント、またこのうちでも重症になり人工呼吸器の装着が必要となった症例数についても調べました。それぞれの結果を新型コロナウイルス流行前の20102019年度と20202021年度で比較検討されました。

 その結果は、新型頃体ウイルス流行前の年間入院患者数は3522.5人だったのに対して、2020年度は770人、2021年度は941人と明らかに減少が認められました。人工呼吸器の装着した重症例数を比較すると、流行前には年間症例数は80.5人だったのに対して2020年度は20人、2021年度は39人であり、こちらも明らかな減少が示されました。

 調査チームの是松聖悟・埼玉医科大学教授は、新型コロナウイルス流行により、マスク装着など感染予防策が徹底され、喘息発作を誘発する感染症にかかることが減少したためではないか?と考察されています。

(引用: 117日 共同通信社配信)