医療あれこれ

クドア・セプテンプンクタータ

 クドア・セプテンプンクタータは魚類ことにヒラメに生息する寄生虫です。人に対してはヒラメのお刺身を食べた後に消化器症状が発生します。魚の寄生虫として時々みられるものにアニサキスがありますが、長さ23㎝のアニサキス幼虫を含むアジ、サバ、イカなどを生食したあと45時間後に突然激しい腹痛が出現し、救急医療機関で胃内視鏡を施行すると胃壁に食い込むアニサキス幼虫が観察されることはよく知られています。

アニサキスに対して今回のクドア・セプテンプンクタータ(以下クドアと略します)は、大きさが1/100㎜と肉眼では見えないほどの小さい寄生虫で、魚類一般に生息するのではなく、ヒラメの筋肉の中やミミズ、ゴカイなどに寄生しています。ヒラメのお刺身を食べたあと、48時間後に下痢、嘔吐、腹痛などの症状が出現しますが、症状は一過性で自然に軽快します。またクドアが寄生するヒラメを生食したとしても必ず症状が出現するわけではありません。

クドアの食中毒予防対策として、ヒラメを食べる場合はマイナス20℃で4時間以上冷凍にする、あるいは75℃で5分間以上加熱するとクドアが含まれていたとしても失活して症状は出現しません。するとヒラメのお刺身は食べられないことになってしまいますが大丈夫。というのは生食用のヒラメはほとんどが養殖場から提供されるものですが、養殖にはクドア陰性と確認されたもののみを用いることになっており、信用のおける養殖場から提供されるヒラメは安全ということになります。

しかし最近問題となっているのは、クドアはヒラメばかりではなく、マグロやエビ、タイ、カンパチなどにも寄生しているといわれるようになっていることです。この場合も、よく流通している解凍もののマグロなどでは一度冷凍されているわけですから、心配ないことになります。

日本人はお刺身が好きでよく食べられていますが、安全なものを選び、無用な食中毒を起こさないようにしたいものです。