医療あれこれ

若年者の新型コロナ重症化の危険因子

 若い人は新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくいという考えもありますが、若いからといってたとえコロナに感染してしまっても軽症ですむことは決してありません。このことを統計学的に検証した論文がアメリカの研究者から公表されています。

St. Sauver J. L. et al: Mayo Clinic Proceedings July 13 2021

DOI:https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2021.06.023

 この研究結果は簡単にいうと、ガン、あるいは心疾患などの慢性疾患のある場合、若年者のコロナ感染症の重症化リスクは、ない人に比べて3倍以上に達するというものです。がんや心疾患がある中高年の人に比べて、同じ疾患をもつ若年者はコロナ感染症で入院が必要になったり、亡くなったりという深刻な状況になる人が多いといいます。

 20203月~9月に、アメリカのミネソタ州とウィスコンシン州において新型コロナウイルス陽性と判定された9928人を対象としてデータが解析されました。これらの対象者を45歳未満、45歳~64歳、65歳以上の3群に分けて、性別、人種、肥満度(BMI)、喫煙習慣などで調整して、年齢ごとの重症化リスクをしたのです。その結果、45歳未満と45歳以上で重症化への影響が最も異なるのはガンでした。45歳未満でガンを患っている人は45歳以上の人に比べて重症化することが多いのです。

 ガンの他に、心筋梗塞などの心疾患や神経疾患、血液疾患などの基礎疾患がある45歳未満の人は、それらがない人に比べてコロナ重症化リスクは3倍以上だったそうです。若年者は高齢者に比べて例えばガンに対する抗ガン剤治療などの積極的治療がおこなわれていることが考えられ、これらの治療が若年者の身体に影響していることが、コロナ感染を重症化させる要因にもなっていると研究者らは述べています。

 それでは、こういった人たちの重症化を抑止するのはどうすればよいのでしょうか。それは積極的なワクチン接種を、基礎疾患がある若年者ほど受ける必要がある、とアメリカニューヨーク大学のMarc Siegel氏は述べています。