医療あれこれ

バンクシーのネズミ

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 数週間前、朝日新聞デジタルその他に、イギリスの路上芸術家であるバンクシーによる自宅のトイレで暴れる9匹のネズミの絵の話題が公表されていました。バンクシーは世界各地の道や建物の壁、橋などに作品を描くなどのパフォーマンスで知られています。日本では、昨年(2019)、東京都港区の防潮扉に、傘を差したネズミの絵がマスコミ公開され、都知事を巻き込んで話題になっていました。今回登場したネズミ達は、自宅トイレの便器の蓋に小便を引っかけたり、トイレットペーパーのロール紙の上を走ったり、歯磨きのチューブを踏んで中身をしぼりだしたり、さまざまないたずらのし放題であるさまが描かれています。バンクシーが家で仕事をしていると妻が嫌がるというコメントが添えられていることから、新型コロナウイルス感染拡大を抑止するため自宅で自粛している様子を示していると思われます。

 イギリスでは、すでに回復されていますが、一時ジョンソン首相が新型コロナ感染で入院することになり自粛生活が話題になっています。しかしイギリスの首相官邸では、300年前からネズミが住み着いているため、首相官邸ネズミ捕獲長としてネコが公式に任命されているそうです。それだけイギリスの町に生息するネズミが問題ということになると、イギリス人のバンクシーも自粛して自宅に閉じこもるにあたっては、新型コロナウイルス感染に限らず類縁の感染症には最大限の注意が必要という事になると思いますが。

 先日もご紹介しましたが、歴史的に問題となった、ネズミとノミを介して人に感染を引き起こすペスト大流行があります。ペスト菌をもったネズミで大流行の原因はクマネズミという種類です。建物に住み着く家ネズミには主としてクマネズミ、ドブネズミ、そしてハツカネズミといった3種類が知られています。ペスト流行を引き起こすクマネズミは、建物の天井に住み着くことが多く高層ビルなどでみられるようで、東京にいるネズミと言えば9割がたがクマネズミだそうです。これに対してドブネズミはその名が示す通り下水や台所に住み着き、以前は野ネズミに対する家ネズミの主流でしたが、最近ではクマネズミに都会ネズミの主役の座を譲っているといいます。中世のペスト大流行でも、その当時の十字軍の東方遠征の西ヨーロッパへの帰り路に、ペスト菌に感染したクマネズミが西ヨーロッパにペスト大流行をもたらしました。

 ところで、世界的に最も有名なスターであるネズミといえば、間違いなくミッキーマウスでしょう。ミッキーは有名であることもあって、よい暮らしをしていると思います。ミニーマウスという恋人がいたり、日常生活でもブルートという犬を飼っていたりします。ネズミが犬をペットとして飼っているというのは改めて考えてみると面白いですね。

さてミッキーマウスのネズミの種類は、クマネズミでも、ドブネズミでもなく、家ネズミの内でも少数派のハツカネズミです。ハツカネズミで有名なのは、実験用の白ハツカネズミで医学関係の動物実験によく用いられています。現在では大学の研究室などで実験動物倫理委員会があり、動物の虐待がないように厳しい規制のシステムが設けられています。