医療あれこれ

子宮頸ガン撲滅へ~ひな祭りに思うこと

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 子宮頸ガンは女性における悪性腫瘍のうちでも20歳代の若いころから発症する可能性があり、乳ガンよりも問題となります。発症率は世界でみると人口10万人あたり平均約13人ですが、日本では14.7人であり、世界での平均より明らかに高率です。一方、日本以外の先進7か国の平均は6.9万人であり日本より圧倒的に低率です。これは日本以外の先進7か国では予防接種が広くなされているからです。

 子宮頸ガンの発症原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で、性交渉により感染することから性感染症と呼ばれるもののひとつです。女性が生涯のうちHPVに感染する確率は性交渉がある女性では80%とされています。しかしHPV感染予防にはHPVワクチンがあります。若年女性にこのワクチンを接種することにより子宮頸ガンの発症を抑止することが可能です。日本では2009年からこのワクチン接種は定期接種で、無料で接種を受けることができるようになりました。

当初、HPVワクチン接種は国から積極的に勧奨され、小学校6年生から高校1年生の女子に接種がおこなわれていました。しかし2013年からはワクチン接種禁止ではないものの積極的な勧奨がなくなりました。つまり積極的にワクチンをすすめないことになったのです。その結果、日本における接種率は1%未満とほぼ無いに等しい状態になってしまいました。一方、先進国ではアメリカ62%、カナダ82%、フランスでは100%のワクチン接種がおこなわれています。

日本においてなぜHPVワクチンがほとんどといっていいほど接種されなくなったかというと、記憶にあると思いますが、HPVワクチン接種による副反応の問題がマスコミで大きく取り上げられたからです。からだが痛み、けいれんがおこるという報道は衝撃的で、HPVワクチンは危険だと認識されてしまったからです。しかしその後、これら神経的な副反応とワクチンには因果関係はなく、思春期の女子にまれにみられる神経症状であることが明らかにされました。しかし「危険なワクチン」というイメージはほとんど拭われず、日本は子宮頸ガン予防において世界で最低の後進国になってしまっているのです。

33日ひな祭りの日に、改めてHPVワクチンが再び普通に接種されるようになり、日本の女子が健やかに成長することを強く願うものです。

引用資料:MSDオンラインセミナー(202003.03