医療あれこれ

統計では肺炎による死亡率が減った?

1905population2017.jpg

 上のグラフは厚生労働省が公表している日本人における死因の年次推移です。少しわかりにくいですが、死因第1位はがん(悪性新生物)、2位は心疾患、3位は脳卒中(脳血管疾患)、4位に老衰、5位が肺炎となっています。以前にこの項で、肺炎が日本人死因の第3位であるとご紹介しましたが(20161113日、医療あれこれ)、その時の統計に比べて、肺炎は第3位から第5位に順位を下げています。現在の日本は超高齢社会で高齢者の人口が増加していることから、天寿を全うし老衰で死亡される人が全体の統計として増加することは当然予測されます。一方で高齢者においては誤嚥性肺炎などが増加することが考えられ、死因として肺炎の比率が増加してもおかしくないと考えられるでしょう。

上の統計結果では肺炎が減少しているようにも見えますが、この矛盾の原因はどこにあるのかというと、肺炎が増加することに伴い死亡原因となる主たる疾患名の記載が、肺炎に加えて誤嚥性肺炎という項目が別に記載され統計処理をおこなうようになったのです。これまでの分類にあったように死因としての「肺炎」を、誤嚥性肺炎以外の肺炎が原因で死亡した人の数と誤嚥性肺炎で死亡した人の数を合計したものとすると、これまで通り第3位の死亡原因となります。

以前にも述べましたが、たとえ持病が一つ、二つあったとしても、総合的にみれば大きな支障はなく生活し天寿を全うしてもらうことが高齢者医療における究極の目標です。