医療あれこれ

栄養豊富な食事は女性を幸福にする

 栄養は、脳の働きに作用して精神的な健康に影響を及ぼすことが知られています。一方で、男女を比べると、脳は解剖学的にも脳機能的にも男性と女性では差があることも事実です。そこで、人間が幸福だと感じることと、食事やその内容が男性と女性で差があるのかどうかを調べる目的で調査・研究がおこなわれ、その成果が公表されました。

 研究発表をしたのは、米国のState University of New York at BinghamtonLina Begdache准教授らで、約560名の男女を対象として匿名のインタビュー方式で情報を集めて解析しました。

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その結果、男性では食事が滞って栄養が不足したときに初めて精神的な問題が発生するのに対して、女性は男性に比べてバランスの取れた食事と健康的な生活状態が得られなければ、ある程度、精神的に不安定な状態で、栄養豊富な状態になって初めて幸福感が得られるということが判ったといいます。つまり女性が幸福であるためには、常に十分な栄養補給ができる食事がそろっていることが必要だと解釈することができるかも知れません。また研究者らは、「女性が栄養不足で精神的に不安定になりやすいのは、不安症やうつ病が起こりやすいことと関連する可能性がある」とも述べています。

 おいしい食事を食べると誰でも幸福になりますが、女性の場合には、より栄養豊富な食事が必要だということでしょう。人が生きていくために必要最低限の栄養補給をすることではなく、十分な栄養豊富な食事が摂れること自体が幸福なことですが、栄養の摂りすぎで病気になることだけはさけたいものです。

引用文献:Begdache L et al. Nutr Neurosci 2018; 20: 1-14