医療あれこれ

若者を不幸せにするスマホ

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 多くの人が使用しているスマホ(スマートフォン)と健康障害については、これまでにもこの項で様々なことをご紹介してきました。(2016.3.27ブルーライトの体への影響2015.11.29「ゲームてんかん」が増えている2014.12.10スマホ画面で頭痛がおこる2017.9.17子供の成長を妨げる恐れ など)今回の話題は、スマホ利用者のうちでも未成年の若者が受ける精神的影響についてのものです。最近、スマホの中高生における心理学的影響を調査研究した報告がありました。(Twenge JM et al. Emotion on line 2018 Jan 22

 これは、アメリカの中学2年生および高校1年および3年生の男女110万人を対象として、19912016年にわたって調査されたものです。調査項目には、スマホなどのデジタル機器使用時間と、他の人と会う、スポーツする、雑誌や本を読むなどの時間などと、自分の生活についての幸福度の関連が含まれています。幸福度には幸福感や自尊心などが含まれています。

 その結果、アメリカでデジタル機器が使用され始めた1990年代以降、機器の利用率が増加するにつれて中高生の幸福度が低下し、スマホ所有率が50%を超えた2012年を境に急速に低下したことが判りました。一方で、失業率などの経済指標とは関連がなく、社会的問題よりスマホなどのデジタル機器が若者の幸福感に直接関連していることが示唆されたのです。さらにこの幸福感の低下は、デジタル機器利用時間の低下というより、人との会話、スポーツなど機器利用以外の生活時間の減少と関連しているといいます。これらの結果をふまえて著者らは、若者に対してスマホなどの利用時間は1日2時間以内に制限すべきで、友人と会ったりスポーツしたりする時間を十分に確保するようなアドバイスをするべきだ。このことにより、若者はより幸せな気持ちを持つはずだ、と述べています。

 日本においてもソーシャルネットワークシステム(SNS)に関する社会的問題がマスコミで話題になっています。生活の幸福度低下などということは、スマホという機器の利用といった単純な問題ではなく、ツイッターなどで発生する問題の内容自体が若者を不幸にするような事件、事故に注意すべきなのかも知れません。