医療あれこれ

コーヒーは健康によい?よくない?

coffee.jpg コーヒーを飲むと、含まれるカフェイン成分で眠気をさまし作業効率があがる、低カロリーであるばかりか脂肪分解を促進してダイエットになる、さらに糖尿病やパーキンソン病に効果があるなど医学的有効性があるといわれています。一方で、不眠になる、血圧が上昇する、心拍数が増加するなどの有害性も指摘されています。本当のところどうなのか?について、最近、大規模研究で1日3杯程度のコーヒーを飲むと全ての死亡リスクが17%低下し、同じ量のコーヒーを飲んだ時の有害リスクより医学的に有用であるとする論文(Poole R. et al BMJ. 2017 Nov 22;359:j5024. doi: 10.1136/bmj.j5024)が公開されました。

それによると、毎日コーヒーを3杯飲む人は、飲まない人に比べて全死亡のリスクが統計的に17%有意に低下し、心臓や血管による死亡は19%低下、また心臓・血管疾患になるリスクは15%有意に低下したそうです。また、がんリスクについて、コーヒーを多く飲む人は、飲まない人に比べて前立腺がん、子宮体がん、肝がんなどの有意な低下が見られ、がん全体では18%有意に低下したといいます。一方で、妊婦については、出生時に低体重新生児や、流産、早産の危険性が上昇する可能性が高くなり、骨折の危険性もあるのだそうです。またコーヒーにミルクや砂糖を入れて飲む人はこれらの影響も考える必要がでてきます。

 昔、アラブの偉いお坊さんが恋を忘れたあわれな男をいやした(西田佐知子のコーヒールンバ)というコーヒーですが、必ずしもコーヒーが医学的に有益であるという結論にはならないのでしょう。1日3杯という摂取量もコーヒーがあまり好きでない人にとってはかなり大量と感じるかも知れません。何事も、これは健康によいといっても、あまり極端なことはしない方が良いということになるのだと思います。

Medical Tribune 2017. 11.30