医療あれこれ

200万年前のDNAが取り出された

 グリーンランドの凍土から200万年前に生息した生物のDNAが取り出されたという学術報告がありました。昔のDNAの研究は、1984年に絶滅したシマウマの一種であるクアッガの剥製から遺伝子が回収されたことから始まっています。それから次第に歴史をさかのぼって古代の生物のDNAに関する研究が進められてきましたが、これまで100万年前の生物までが限界とされてきました。しかし今回の発表はこれよりはるかに昔の生物のものです。この研究実験はデンマークのコペンハーゲン大学のエシュケ・ウィラースレフ教授らのグループで、8年間の研究成果だそうです。 古代の生物としてマンモスや魚類、さらに植物のDNAも含まれ、その当時の生態系全体が把握されたことになるといいます。

 DNAは時間が経過するほど分断されていき、取り出されたDNAの形態を調べることにより、その生物が生息した時代からどれだけ時代が下ったのかを推測することが可能だそうです。この理論により今回調べられた古代生物のDNA200万年前のものだったことが明らかされたようです。

 グリーンランドは現在では氷に包まれた凍土ですが、古代にはスギなどの植物におおわれた温暖気候で、その後の気候変動により現在の寒冷気候に変化していきます。その気候変動と生物のDNAを調査すると、現代における地球温暖化などの気候変動に生物がどのように対応するのかを知るための重要な情報を得ることにつながったとのことです。マンモスのような補給類がどのような経緯で絶滅したのかを調べている研究者もいるとのことです。

 研究結果から200万年前には現代では見られない北極圏と温帯の生物が混在していたことが明らかとなりました。地球上では現在、温暖化が問題となっていますが、こうした研究成果は今後の気温の上昇に対して生態系がどのように対応できるかという手掛かりを得ることができると研究者らは述べています。