医療あれこれ

血液と血管 (1)

 血管内で血液が固まり形成される血栓症。脳の動脈に血栓ができると脳梗塞に、心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈に血栓ができると心筋梗塞になります。一方、長時間、足を動かさないでいると足の深部静脈に血栓ができて、これが流れ出すと肺の血管を閉塞して肺梗塞がおこります。同じ血栓でも動脈にできる血栓と、静脈にできる血栓がありますが、動脈血栓と静脈血栓ができる仕組みは異なるのでしょうか。

これを理解するためまず血液循環について概略を説明します。下の図は血液循環の模式図です。これに示すように心臓から全身へ血液を送り出している血管が動脈です。心臓から血液を送り出す左心室につながる大動脈は太い血管ですが手足の先などに近づくにつれてだんだんと細くなり毛細血管となります。毛細血管は血液循環で運ばれてきた酸素や栄養分を組織に荷下ろしする役目を持っています。そして血管はだんだんと太くなって心臓の右心房へ帰っていくのですがこれが静脈です。図では細かい点が打たれている血管です。動脈と静脈の最も大きな相違は、中を流れる血液の中身、つまり酸素が多いか少ないかということもありますが、圧力の差が特徴的です。動脈は心臓から頭や手足の先まで血液を送る必要がありますから高い圧力を持っています。これが「血圧」です。一方、静脈は細い毛細血管を通ったあとですから圧力はほとんどありません。

 この動脈と静脈にできる血栓の形成機序の最も大きな相違がこの圧力の関与です。動脈を流れる血液は高い血圧がかかっているのに対して、静脈を流れる血液には圧力はほとんどなく、場合によっては血流が止まってしまうかもしれません。

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