「老衰」が死因第3位にランクイン

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「老衰」が死因第3位にランクイン

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 上の図は厚生労働省が公表している平成30(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況から引用した主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移です。1年前のデータですが、これが今月発表された最新のもので、このページの52日付け(統計では肺炎による死亡率が減った?)より新しいものです。前回の死亡順位は、第1位はがん(悪性新生物)、2位は心疾患、3位は脳卒中(脳血管疾患)、4位に老衰、5位が肺炎でしたが、最新版では老衰が肺炎抜いて初めて第3位になっています。老衰は最近上昇し続けている傾向にあり、今回脳血管疾患を抜いて第3位になったわけです。グラフでは老衰と脳血管障害はほとんど差がないように見えます。実数でも3位の老衰は109606人、4位の脳血管疾患108165人と差はごくわずかですが、老衰が脳血管疾患を上回っていました。

 前回説明したように、肺炎の順位が下がっているのは、肺炎の実数自体が減少したのではなく、高齢者に多い誤嚥性肺炎をそれ以外の肺炎とは別病名で記載することになったためです。一方、今回初めて第3位に入った「老衰」は、死因順位のうちこれだけが治療を必要とする病気ではなく、超高齢社会を反映した明らかな傾向であると考えられます。人は本来何か病気などで死亡するのではなく天寿を全うして亡くなることが理想ですから、大変結構なことではあります。しかし肺炎についても高齢者における発症が多数を占めるわけで、肺炎の死亡数が増加し続けても納得できる結果であるはずです。これだけ「老衰」での死亡数が増加している要因として、高齢者において死亡診断書を作成する医師が、現在の風潮を反映して「肺炎」ではなく「老衰」を主な死因として記載していることが推測されます。亡くなったとき肺炎にかかっていても、それは老衰が原因で肺炎になったのだと考えると当然の結果になるわけです。