医療あれこれ

牛乳の飲みすぎで骨折?
2015年3月 1日
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 年齢を重ねるにつれ、骨粗鬆症のように骨の成分が低下して、少しの荷重負荷でも骨折が起こりやすくなります。これを予防するため骨の主成分であるカルシウムを多く摂取することが重要であり、牛乳を毎日飲むことは重要だということが一般的に信じられています。しかし最近マスコミでも取り上げられていますが、牛乳を飲み過ぎると骨折や死亡の危険度が上昇するという報告があり、問題となっています。

 ことの発端はスウェーデンの研究者から発表された大規模研究です。(BMJ, 2014,349: g6015

これは39歳~74歳の女性約9万人を対象として約20年間追跡調査したものと、45歳~79歳の男性約10万人を約11年間追跡調査した結果をまとめて報告したものです。結果は女性対象の研究では、期間中に17,252人が骨折を経験し、5,278人が心臓血管疾患で、3,283人がガンで死亡した一方、男性では5,379人が骨折を経験し4,568人が心臓血管疾患で、2,881人がガンで死亡したというものでした。牛乳の摂取量などの検討を併せて統計学的に解析すると、「牛乳を多く摂取した群では、骨折および死亡リスクが有意に上昇し、特に女性でこの傾向が著明であった」というものでした。

 この原因として研究者らは、牛乳に含まれる乳糖の代謝産物であるD-ガラクトースが関与していると考察しています。D-ガラクトースは、老化の原因となる酸化ストレスや慢性炎症、免疫能の低下、神経系への影響があり、これが結果として現れたものといいます。D-ガラクトースは通常の食品に多く含まれるものですが、牛乳での含有量に比べると微々たるものだそうです。

 これに対して、牛乳以外の乳製品、例えばヨーグルトなどの発酵乳製品やチーズなどでは、牛乳そのものの影響とは全く逆の効果があったといいます。つまりチーズや発酵乳製品は骨折リスクや全死亡率を低下させるというものです。

 しかし「これらのことだけで骨折予防に牛乳を飲んでも意味がないと言い切るには、さらに慎重な検討をする必要がある」と論文の著者らは述べています。




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