医療あれこれ

甲状腺ガン
2014年5月18日

 甲状腺にできる腫瘍のうち悪性のものの多くが甲状腺ガンです。胃ガン、大腸ガン、肺ガンなどすべてのガンのうち甲状腺ガンの占める割合は1%ぐらいです。甲状腺ガンのうちで最も頻度が高いのが、ガン細胞の種類から、乳頭ガンといわれるものです。甲状腺ガンのうち90%以上がこの乳頭ガンですが、ガンの進展は穏やかな部類に入り、首すじのリンパ節へ転移することもありますが、適切に手術により治療をおこなうと、その人が10年後に元気にされている割合(10年生存率)は90%以上で、比較的経過がよいとされています。

 男女で発生頻度を比較すると女性に多く、年齢では中年以降の発症がほとんどです。自覚症状として痛みなどを感じることは少なく、甲状腺にしこりがあることに気づいたり、何気なく首を触ったときにしこりに気づくことが多いようです。また少し進行してリンパ節に転移があると、首すじのリンパ節の腫れで異常に気づいたことから、検査をして甲状腺ガンと診断されることもあります。

 診断にはまず触ってみる(触診)が重要で、硬くなめらかではない腫瘤を触れます。そこでX線や頸部超音波エコー検査、さらに針を刺して細胞を調べる穿刺吸引細胞診などの検査をおこないます。

 治療としては、乳頭ガンの場合、まず手術で摘出することですが、早期の場合、甲状腺の半分だけ摘出することが学会から推奨されています。しかし再発の危険が高いと判断された場合、甲状腺の全摘出、またリンパ節転移がある時は、腫れているリンパ節だけでなく、頸部リンパ節をすべて摘出することとガイドラインに示されています。

 また再発の予防を目的として、放射性ヨードが投与されます。以前にもこの項でご紹介しましたが、ヨードは甲状腺ホルモンの原料であることから甲状腺に取り込まれますが、これに微量の放射能を付けておくと悪性細胞の発生を抑制するというものです。日本ではこの放射性ヨードを外来でも投与できるように、至適投与量を少なめに設定しています。いずれにしろ早期に発見して適切な治療をおこなうことが最も大切です。




ご挨拶
診療案内
医院の写真
アクセスマップ
リンク集
HOME