医療あれこれ

高齢になって運動を始ても効果あり
2014年1月 2日

 身体活動性が高い人は高齢者になっても健康状態が維持されることは以前から知られていました。今回ロンドン大学の疫学・公衆衛生学から、それまであまり体を動かしていなかった人でも高齢に達してから身体活動を始めるのは健康加齢によいことがイギリスの学術雑誌に発表されました。(Hamer H: British Journal of Sports Medicineオンライン版)

 研究は60歳以上の人約11,000人を対象として8年間の追跡調査をしたものです。調査開始時と4年目での対象者自身の報告により定期的な身体活動なしの不活動群、週1回以上中等度の活動をしている群、週1回以上強度の身体活動をしている群の3郡で比較し、認知症になっていないことや慢性疾患がないことなどの健康度を比較したものです。

 その結果、調査開始時に不活動であった人に比べて身体活動のある人の方で有意に健康状態が維持されるという、当たり前のような結果とともに、調査開始時には不活動だったけれど、4年後には週一回以上中等度以上の活動をするようになった人でも、身体活動を全く始めなかった人に比べて統計学的に有意に健康状態が維持されるという結果が出ました。つまり、高齢者になってから運動を始めても健康状態の維持に有効であることを示す結果と考えられます。

 このことは年をとってから、今さら運動を始めても手遅れだろうと考えられがちですが、病気になって不健康状態になる前に少しでも運動を始めると健康状態維持に何らかの効果があるということで、何歳になっても遅くない、少しづつでも定期的な運動を始めることが重要だということができるでしょう。だからといって高齢者になってからマラソンを始めることなどできませんから、できるだけ散歩をするなど身体活動性を高めていくことがよいと思われます。




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