医療あれこれ

痛風はなぜ足の母趾でおこりやすいか
2013年3月17日
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 以前にこのページで紹介したように、血液中の尿酸値が高い状態が長時間続くと、尿酸が尿酸塩の結晶となって関節内に沈着します。それが溶け出すことが原因となって、風にあたっても痛いほどの激痛が起こり、これが痛風発作と言われるものです。(201248日付の医療あれこれ)

 ところで、関節は言うまでもなく全身の骨と骨のあいだにあるのですから、この痛風の急性関節炎は全身どこにでも起こる可能性があります。しかし足の母趾の付け根に起こることが最も多いのです。なぜ足の母趾に多いのでしょうか。いくつかの原因が考えられています。

 痛風発作の原因となる尿酸塩の結晶が溶け出すのは、37℃の状態では起こりにくく、低い温度では溶けやすいのだそうです。つまり足の関節は体温(37℃)よりかなり低いことが多いので、沈着した尿酸塩の結晶は、足の母趾でより溶け出しやすいということが一つ考えられます。

 また温度以外にも、尿酸塩の溶解に関与する要因があって、例えばプロテオグリカンという物質は尿酸塩の溶解を抑制しているのですが、母趾関節の変形性関節症があるとこのプロテオグリカンが変性を起こして作用しなくなるのです。その結果、尿酸塩の溶解は抑制がなくなり、どんどん溶解が進むことから、関節炎が増強されてくるという可能性があるようです。

 さらに、足の母趾には歩行などの運動時に大きな荷重がかかります。ゴルフや長時間の歩行は尿酸塩の結晶に影響を与えて溶解しやすくなり痛風発作の原因になると想定されています。


(文献 谷口敦夫:日本医事新報 No.4635 p.48)




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