医療あれこれ

睡眠時無呼吸症候群
2012年7月28日
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 睡眠時無呼吸症候群は、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上呼吸をしない状態が、30回以上ある、または睡眠1時間あたりの無呼吸が5回以上ある病気です。「いびき」をかくことが多く、十分な睡眠ができていないことから、「ぐっすり眠った感じがしない」と感じたり、昼間に眠気をもよおすことが多いなどの症状があります。

 睡眠時無呼吸がマスコミなどで初めて注目されたのは、20032月の新幹線運転手の居眠り運転だったことはご存知の方も多いでしょう。乗客800人を乗せ、時速270 kmで走行中の山陽新幹線の運転手が眠り込んでしまい、岡山駅を通り過ぎようとしたのです。この時は、自動列車停止装置が作動して、自動的にブレーキがかかり、けが人などはありませんでした。そしてその居眠り運転手さんを調べたところ、睡眠時無呼吸症候群で夜間に十分な睡眠ができていなかったことが判ったのです。

 睡眠時無呼吸の原因の一つとして肥満があり、喉など気道が狭くなっていることが多いので生活習慣病と密接に関連しています。また逆に、睡眠障害は心筋梗塞など重大な心臓・血管の病気の原因になります。そこで、夜間に呼吸が止まっている、よく「いびき」をかくなど、睡眠時無呼吸の疑いのある人は、しっかりと診断をつけて適切な治療をしておくことが必要です。

 診断としては、基本的には、無呼吸の専門外来がある病院へ一泊入院して夜間の睡眠状態を検査します。軽症の場合では治療は、生活習慣の改善、体重減少を心がけることから始まります。アルコールを多く飲む人は睡眠時無呼吸になりやすいことから、晩酌を減らすことも重要です。

 中等症~重症では、専門的な治療が必要になります。第一選択の治療法として、持続的陽圧換気治療(CPAP療法)があります。鼻マスクを装着して睡眠し、空気(酸素だけではありません)を一定圧で送り込み、睡眠中に喉の筋肉がゆるんで閉塞してしまうのを防ぎます。このCPAP療法により翌日から早速、昼間の眠気がなくなるなど明らかな結果がでる人もいます。しかし逆に、最初はマスクを着けて寝ることへの違和感など、慣れるのに時間がかかる人もあります。報告されているデータではCPAP療法を継続できる人は5080%と言われていますが、継続できれば、心臓・血管などの合併症が明らかに抑制されるとされています。

 そこで、いかにしてCPAP療法を続けてもらうかが問題となります。CPAPの機器に、使用回数や使用時間が記録されるICカードが付いているものが開発されるなど、できるだけ継続して使用してもらえるような工夫はなされています。また続けて受信しやすい環境をつくることや、専門医とかかりつけ医の連携なども必要になると言われています。





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