医療あれこれ

ガンの予防
2012年4月22日
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 日本人の死亡原因第一位で年々増加し続けているガン。すべてのガン死亡率では、50歳代から徐々に増加し、男性では60歳、女性では70歳を超えると急激に上昇します。つまりガンは高齢者の病気であるといえるでしょう。

 ガンの予防はどこまで可能か?ということですが、その前提としてガンの原因を考えておく必要があります。ガンの発生は生活習慣に関係するものと、感染症に由来するものの二つに大きく分けることができます(右の図)。

 生活習慣関連では、言うまでもなく喫煙は最大の危険因子です。他の人が吸っているタバコの煙を吸う「受動喫煙」も大きな原因で、禁煙推進と同時に完全な「分煙」が求められます。

大量のアルコールも発ガンに関係します。毎日、日本酒に換算して3合以上の飲酒をしている人のガン発生率は飲まない人の1.6倍にもなり、飲酒と喫煙の両方が重なると倍増するとされています。例えば、一日30本以上のタバコを吸い、3合以上のアルコールを飲み続けて30年後には、食道ガンの危険性は約50倍になるそうです。肉類ばかり食べている肥満の人が、飲酒を続けていると大腸ガンの危険を上げる要因ということもはっきりしています。

 生活習慣由来のガン予防には、①禁煙、②アルコールは飲みすぎない、③運動などにより肥満を予防する、といった生活習慣の改善が必要となります。ただ言うだけなら簡単ですが、なかなか実際問題として難しい部分もあります。さらに自分では完全に良好な生活習慣をしていると思っていてもガンの発生を100%予防できるとは言い切れません。

 一方、感染症由来のガン発生を予防することは、理論的に、はるかに簡単です。感染源を断ち切る治療や、ワクチン接種により抑制ができるからです。感染症由来のガンとしては、①肝炎ウイルスによる肝臓ガン、②ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)による子宮頚ガン、③ピロリ菌による胃ガン、などが考えられます。B型肝炎やC型肝炎ウイルスに対する治療をする、若年女性にHPBのワクチンを接種する、ピロリ菌の除菌をするなど明確な対応が可能です。

 これらのガン予防は「一次予防」と言って、ガンの発生そのものを予防することです。これに対して、ガン検診などによる早期発見・早期治療は、ガンという病気にかかってしまったけれど、それが重症化し死亡の原因になることを防ぐ「二次予防」と言われるものです。一次予防をしておいて、検診で二次予防をすることが大切なことだと考えられます。

(文献 浅香正博:日本医事新報、201247日号、P.28





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