医療あれこれ

糖尿病の人に逆流性食道炎が合併しやすい

 逆流性食道炎は、胃食道逆流症(GERD)があり、胃液が食道に逆流して発生します。胃液は食べた物を殺菌するため強い酸性で、胃袋の内壁は酸性でも大丈夫な構造になっていますが、食道の内壁はそうではありません。従って胃液が逆流して食道に流れ込んでくると「胸やけ」や場合によっては胸痛と感じるような症状が出現するものです。

 糖尿病の人はこの逆流性食道炎が糖尿病ではない人に比べて2倍以上多く合併することが報告されています。そして血糖コントロールが良くないほどおこりやすく、また糖尿病が発症してから年数が長いほどおこる確立が高くなりますが、16年以上経過すると発生頻度は低くなるようです。(下の図参照)

これは次第に神経障害がおこり知覚が鈍感になってくるためと言われています。

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 逆流性食道炎の発症は、自律神経障害があったり、唾液の分泌量が減り胃液の中和ができにくくなることが関係しているとされていますが、いずれも糖尿病にみられる徴候で、糖尿病と逆流性食道炎の関係が理解できるものと思われます。

 いずれにしても、糖尿病ではしっかり血糖をコントロールしておくことが大切で、もし「胸やけ」などの症状があるときは要注意で、胃酸を減少させるなどの薬物治療が必要になってきます。

文献: Nishida T et al.  J. Gastroenterol Hepatol (2004) 19, 258.