医療あれこれ

正しく血圧を測定しましょう

1807ketuatu.gif

 高血圧治療中の方の多くはご自分の血圧計を使って、家庭で血圧を測定しています。また高血圧治療を受けていなくても、常日頃血圧を測定している方も多いと思います。その際、気づかれると思いますが、血圧というものは測定のやり方、時間、場所によってばらつきが大きいものです。典型的な例が、家庭において自分で血圧を測定していると正常なのに、病院や診療所で測定すると高いことが多いというものでしょう。これは決して家庭での血圧が正しくないのではなく、医療施設では日常とは異なり精神的な緊張があったりして血圧が高くなることが考えられており、「白衣高血圧」と呼ばれています。つまり医療者が白衣を着ているのでそれをみて緊張するのだというのです。

 それはともかくとして、このほど米国心臓協会(AHA)から、正しい血圧測定法という啓発活動のコメントとして血圧測定でやってしまいがちな7つの間違いというものが公表されました。この対象は一般の人たちだけではなく、医療者も含んでいると思います。その7項目とは以下の通りです。

1. 血圧測定の前には必ず排尿をすませておくこと。つまり膀胱が充満した状態で血圧を測定すると1015高くなることがある。

2. 前かがみの姿勢、背もたれや足を支えるものがない状態で測定することをさけること。背もたれがなく、イスに座って足の裏が床についていないと血圧が610高くなる。

3. 腕をぶら下げて測定しないこと。マンシェット(カフ)を巻いた腕が自分の心臓の高さにやるように腕はイスや机の上に置く。腕をぶら下げて測定すると血圧が10以上高くなることがある。

4. 衣服の上からマンシェット(カフ)を巻いて測定してはいけない。裸腕に巻くようにしないと測定血圧が550も高くなることがある。

5. 小さすぎるマンシェット(カフ)で測定しない。腕の直径にあっているかどうか確認しないと210高くなることがある。

6. 脚を組んで測定しないこと。脚は組まず足台などの支えがある状態にしないと28高いくなることがある。

7. 話をしながら測定しないこと。測定中は動いたり話したりしないよう注意しないと10程高く測定されてしまう。

April 30, 2018 AHA

 以上の注意事項は実際の診療の場で必ずしも厳格に守られていないこともあります。米国ピッツバーグの高血圧シンポジウムで、医療従事者と臨床医に血圧測定のやり方がテストされたのですが、30人中3人だけが合格したという事実もあったそうです。

 診療所での血圧測定は例外になる場合も多いですが、家庭において受診者が自分で測定する場合、できるだけこれらの注意を守っていただいた方が正確な臨床データとしての血圧値を得ることができると思います。