医療あれこれ

夕食に赤ワイン1杯で糖尿病改善

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 糖尿病治療において適切なアルコール摂取がどのように影響するのか、についてはこれまで一致した見解は得られていませんでした。このたびコントロールが良好な糖尿病患者を対象として赤ワイン、白ワインの効果をみた結果が、第22回欧州肥満学会においてイスラエルの研究者から報告されました。

 対象は、飲酒習慣のないコントロール良好な成人糖尿病患者224例を3群にわけ、①赤ワイン、②白ワイン、③ミネラルウォーターのいずれかを2年間の毎日、夕食時にグラス一杯(150 ml)摂取するものです。なお赤・白ワインやミネラルウォーターは同じ種類のものが無料で提供されたそうです。

 その結果は、③ミネラルウォーター群に比べて、①赤ワイン群では脂質異常が改善し、①赤ワイン群、②白ワイン群の両方で、③ミネラルウォーター群に比べて糖代謝が改善し、特に①赤ワイン群での改善効果が大きいというものでした。またワイン摂取は、糖尿病治療薬の内容や血圧、肝機能などには影響しませんでした。またアルコール分解能でみると、アルコール分解が速いことに関連する遺伝子を持った人に比べて、アルコール分解が遅い遺伝子を持った人の方が、血糖コントロールはよかったそうです。

 発表者らは、このアルコール分解能の違いによりワインの効果が異なることからみても、アルコールが糖・脂質代謝改善に一定の役割を果たしていると述べています。また白ワインよりも赤ワインの方が代謝改善に優れていたことから、赤ワインに含まれるアルコール以外の成分が関与した可能性があるという見解を示しています。研究結果からは断定することはできませんが、赤ワインに含まれている抗酸化作用をもつポリフェノール類が影響したのでしょうか。

 

出典:Medical Tribune 2015618P.9