医療あれこれ

子宮体ガンは肥満で発生しやすい

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 女性に発生するガンのうちで子宮ガンは乳ガン、大腸ガン、肺ガン、胃ガンについで5番目に多くみられるものです。子宮ガンには主として子宮頸ガンと子宮体ガンの2種類があり、日本において子宮頸ガンは年間約2500人が、子宮体ガンは1600人が亡くなっているとされ、子宮頸ガンの方が多い傾向にあります。

子宮頸ガンについては、最近ワクチンの副作用で問題になっているように、性感染症としてヒトパピローマウイルス(HPV)が性交渉によって感染することが原因で、当然、若い女性やそれらの行為を経験することが多い女性に発生頻度が高いことが知られています。これに対して子宮体ガンは肺ガンや乳ガンなどと同様、50歳、60歳代の女性における発生頻度が高く、若い人では生理のときに子宮粘膜がはがれてしまうため、閉経前では発生頻度が低く、閉経とともに増加します。

 このうち、子宮体ガンについて、これまでその発生要因の一つに肥満が考えられていました。年齢とともに体重が増加した女性には子宮体ガンが有意に発生しやすいというのです。それでは意図的にダイエットをして体重を減少させれば子宮体ガンの発生は予防することができるのでしょうか。この問題を解決する大規模な臨床研究はこれまでおこなわれていませんでしたが、このほど米国インディアナ大学公衆衛生学の研究グループが、閉経後の女性についてのこの大規模研究で、さまざまな要因を分析し、意図的な体重減少が子宮体がんの発症リスク、特に肥満女性のリスクの低下と関連していたことを明らかにし公表しました。J Clin Oncol2017; 35: 1189-1193

対象は5079歳の閉経後女性36,794例で、最初と3年後に体重を測定し、この間の体重の変化により安定群(±5%未満の変化)、減少群(5%以上の減少)、増加群(5%以上の増加)に分類。さらに、体重の変化を意図的と非意図的に分けて比較検討したのです。その結果、平均11.4年の追跡期間中に566例が子宮体がんを発症しましたが、解析の結果、安定群と比べ減少群では子宮体がんリスクが有意に低下し、この関係は意図的に減量した肥満女性で最も強かったという結果でした。また約4.5kg以上の体重増加は、子宮体がんリスクの上昇と関係することが認められました。結論として、「閉経後女性の意図的な体重減少は、特に肥満女性の子宮内膜癌リスクの低下と関連しており、これらの知見は、肥満後の閉経後の女性の体重減少プログラムに動機を与えるはずである。」と研究者たちは述べています。

 日本より米国において高齢の肥満者が多い印象がありますが、今回の報告は米国において社会的に重要なものであったのではないでしょうか。